戦国時代。忍者の国伊賀の里では、百地三太夫を頭とする百池党と、藤村長門を首領とする藤林組とが勢力を争っていた。伊賀には下忍養成所があり、他国から幼い子供をさらってきては、次次に一人前の忍者を養成、補充していた。爺いと一緒に百地党に入ったワタリ少年もその一人で、その天才的な術は、三太夫や大頭音羽の城戸を驚かした。ある日ワタリは、同じ少年の忍者で心の優しいカズラと知りあい、二人の間には強い友情の絆が結ばれた。カズラにはツユキという美しい姉がいて、彼女は恋人新次郎と夫婦になるためには、五月雨城主を殺さねばならぬ掟を背負っていた。しかしながら、五月雨城は武田勢の強力な忍者、伊賀崎六人衆に守られ、難攻不落、二人のかなう相手ではなかった。小次郎は危く爺いに助けられたが、ツユキは宙吊りにされて死んでいった。姉の復讐に燃えたカズラは、ワタリと共に五月雨城に忍びこんだ...
一乗寺下り松に吉岡一門を葬った武蔵は、宿敵・佐々木小次郎との再会を約して、再び修業の旅に出た。その冬、武蔵は生活力のたくましい童子・伊織を知りその厳しい生活態度にうたれて、伊織と共に鍬を持ち荒地に挑んだ。やがて、武蔵の苦労がみのり二俵の米を得た秋、野盗が村を襲った。武蔵の怒りの剣はうなり、野盗は撃退された。農作期も終り伊織を連れて江戸へ出た武蔵は、計らずも立ち寄った研師厨子野耕介の家で小次郎の愛刀・物干竿を見た。小次郎は、細川藩家老岩間角兵衛に見出され、細川家の指南役にかかえられていたのだ。一方宿に旅装を解いた武蔵は、彼の腕前にホレこんだ博喰・熊五郎の世話でのどかな日を送っていたが、ある日小次郎から、居所をつきとめたお杉が町奴・半瓦弥次兵衛らを連れて乗りこんできた。が、この騒ぎも、折しも武蔵を迎えにきた将軍家指南役北条安房守の駕篭で難を逃れ、安房守の...