近松門左衛門が書き下ろした世話浄瑠璃で、歌舞伎としては1909年に二世實川延若が初演しました。
複雑な家庭環境により荒んだ生活を送る大坂天満の油屋河内屋の息子・与兵衛の哀感と狂気、同業の豊嶋屋七左衛門の女房・お吉の与兵衛への思いやり、与兵衛を勘当するも心配でならない継父・徳兵衛と実母・おさわの情愛が、近松の筆によって巧みに描写されています。
放蕩者の与兵衛は、店の有り金を持出しては馴染の芸妓小菊に入れあげている。
金に困った与兵衛は、徳兵衛に金策を断られるや逆上して家族に暴力を振るう。見かねた母・おさわが勘当を迫ると自棄を起こして家を飛び出すのだが、借りた金の返済は迫り、途方に暮れる。一方、徳兵衛とおさわはお吉を訪ね、与兵衛を家に帰るよう諭してくれと涙ながらに頼み、銭を預けて帰って行った。このやりとりを物陰で密かに聞いていた与兵衛は、その親心に涙を流...
正月、江戸の町では鼠小僧の芝居が大人気。見物客の中で、棺桶屋の三太(さんた)がずる賢く金稼ぎに励んでいます。金にしか興味のない三太は、実の兄が死んでも棺桶屋の出番と喜ぶ始末。その上遺産があると聞いて大はしゃぎ。ところが遺産は善人と評判の與吉(よきち)が相続することに。他人には渡すものかと一計を案じた三太は、兄の死体の替わりに棺桶の中へ忍び込みますが・・・江戸町奉行から幽霊まで、個性溢れる登場人物達を、豪華な顔触れが賑やかに楽しく演じます。