昭和二十二年夏、敗戦による混乱のおさまらぬ時に流行作家の望月王仁は、N県きっての財閥・歌川多門の豪邸で殺された。その時、多門の家には二十九人に及ぶ男女がいた。兇器の短刃からは、二人の女の指紋が発見され、もう一人の女のものと思われる小さな鈴が、害者のベットの下から発見。女中も含めた、二十九人の内、十人は、多門の息子の一馬によって招待された人々で、戦争中の数年間、歌川家に疎開していた人々であった。そして、そこでは一般の人々の想像を絶するような、男女の淫乱な生活が繰りひろげられていたのである。そして、それにも輪をかけてひどいのが、歌川家の複雑な血縁関係であった...
賑わう万博会場を三人のズベ公が、右往左往していた。東京から流れついたサチコ、団体客の食事を失敬する美奈、地方から来た金持の爺さんに身の上話で泣きを入れて、フトコロの金をねらうハツエの三人組である。三人はゴーゴー喫茶でチンピラの三郎とスナックのマダムおすみを知った。おすみはスーパーマーケット営業主任の義夫の愛人だが、義夫は万引き女を捕まえてはホテルへ連れこんだりする悪質な男だった。三人はさっそく義夫を脅し、金をまきあげてしまった。そして、次に計画したのはバー荒し。だが、狙ったバーが暴力団・戸田組の経営だったところから、三人はリンチを加えられ、美奈は監視役の三郎と恋仲となった。やがて、村上産業の荒川の腹案で、三人は万博見物の外国人相手の売春組織作りに奔走するが、戸田組の知るところとなり、また追われの身となった。また、おすみも戸田組に責められ、三郎の裏切り...
過激派学生の兄、村木鉄人が警察に逮捕されたとき、母は自らの生命を絶った。村木正人(通称ムラマサ)は、母を死に追いやった兄・鉄人をたたっ斬ることを心に誓い保釈金の五十万円を稼ぎながら鹿児島から東京へと旅立った。道中、旅先で知り合った女性たちとアバンチュールを楽しみながらムラマサの機知とユーモアに満ちた行動を描く。